昔から歯医者さんはどうも苦手で、多少痛くても我慢してしまうほうでした。それが災いして、右上奥歯の虫歯がいつの間にか進み、抜かなくてはならないハメに。しかも両隣の歯も虫歯が進行しているらしいのです。部分入れ歯しかないと言われてしまったのです。「入れ歯」という言葉を聞いただけで、ショックで目の前が真っ暗になりそうでした。というのも私の母は六三歳ですでに、上が総入れ歯で、下の歯も自分の歯は数本しか残っていないのです。母自身、歯が悪いことをコンプレックスに感じているようで、私も母の入れ歯が洗面のコップに入っているのを見ると気持ち悪くなってしまいます。「私もあれを入れるの?」、冗談じゃないと思いました。この年で入れ歯にしたら、いずれ母のようになってしまうのです。

そんなとき、インプラントという治療法があることを雑誌で知ったのです。早速インターネットで調べたところ、メデントというインプラント専門のドクターグループがあることを突き止め、思い切って電話してみました。電話で概略を説明して、相談の予約を取って行ってみました。

ここは、私の家から横浜線で隣の駅の駅前にありました。とてもカッコイイ先生でした。 こんなに悪くなるまで放っておいたことを責められるのではないかと、内心ヒヤヒヤしたのですが、先生はそうしたことは一切口にせず、インプラントについてもわかりやすく説明してくれました。でもインプラントは自分の歯以上によく磨かないと悪くなるんだそうです。
私の場合、やはり抜けたところはインプラントにするのがいちばんいいとのこと。部分入れ歯やブリッジでは、すでに両隣の歯も弱っているので、ほかの歯まで悪くなってしまいそうなのです。手術はいやでしたが、それより入れ歯になる恐怖感のほうが強く、お願いすることにしました。支払いはインプラント一本と骨の移植のような治療をやるということで、総額六三万円をローンで組みました。メデントグループのローンは、治療成績がいいため、利率が安いと、看護婦さんが言うので、一時にお金が出ていくより助かると思ってローンにしました。

インプラントの手術は、全然寝ていてわかりませんでした。手術をしてから五カ月くらい待ちましたが、きれいな歯が入りました。見た目もいいし、普通にJめるので満足しています。たった一本歯がないだけで、ずいぶん不自由なものだとわかりましたので、今は定期健診にもきちんと通って、もう、一本も歯をなくさないよう気をつけています。

歯がまったくない人でもインプラントにすることができると看護婦さんが言っていたので、母にも勧めてみたところ、入れ歯から解放されるということ自体、半信半疑のようでした。母は歯医者さんに通うたびに一本一本歯を抜かれて、総入れ歯になってしまったという思いが強いので、治したいという気持ちはあっても、なかなか歯医者さんには足が向かわないようです。母はまだそんなに老けこむ年ではないし、これからも元気で人生を謳歌してほしいので、説得してみるつもりです。